
みなさん、こんにちは
連日30ºC近くの日が続き、ボストンもようやく夏らしい気候となってきました。
6月の中旬からクリニカルロテーションが始まりました。今回のローテーションは入院患者のリハビリをおこなうIn-Patient/Acute careを担当することになり、夏の終わりまでマサチューセッツ州のケープコッドという地区にあるSpaulding Rehabilitation Hospitalで実習しております。
実はこのケープコッド、海が綺麗なことからマサチューセッツでは一番の人気スポット。大富豪の別荘なども至る所に有り夏は非常に賑わった場所となります。地元の人から仕入れた情報では、なんとオバマ前大統領の別荘もケープコッドにあるのだとか…..さりげなく歩いていたらオバマ氏と遭遇!なんてことも期待できるかもと期待しつつ実習に励んでいます。実習に関してはまた改めてブログで紹介していきたいと思います。
さて、今回のブログはトレーニングに関連した内容で進めていきたいと思いますが、まず質問させていただきたいことがあります。
これは自分にも当てはまることですが、、、、
いつも何気なくおこなっているトレーニング、
みなさん本当に目的とする効果を得ることができているか疑問に思ったことはないでしょうか?
自分たちが日頃行うトレーニングや、クライアントさんに指導するトレーニングって、案外他の人がやっているのを参考にしたり、人気Youtuberの動画で見たのを試してみたり、あるいは定番のエクササイズをただ取り入れているだけで実はあまり意識して考えていない場合が多いのではないでしょうか。
例えば、スクワットをおこなうにしてもスクワットのやり方一つで効果も変わってきますし、何よりもケガをするリスクも高まってしまいます。またその人の体の特徴、フィットネスレベルも大いに参考にしなければいけません。
例えば、Hip Hingeと言ってお尻を後ろに突き出す感覚で股関節を曲げるテクニックが不十分であった場合、膝がつま先より前に出やすいフォームとなってしまい、膝にかかるストレスが大きくなってしまいます。膝が前にでるいわゆるKnee dominance(膝優位)のフォームでは、膝の障害を引き起こす原因にもなりますし、スクワットの目的であるお尻の筋肉(臀筋、ハムストリング)を十分に鍛えることができません。

このように普段の何気ないトレーニングでも、やり方次第では効果が半減してしまったり、逆に目的とする効果を最大限引き出すことも可能となります。以前にもご紹介した中臀筋を鍛えるサイドウォークでも、やり方次第ではTFL (大腿筋膜張筋)を優位に働かせてしまい、本来では鍛えたくない部位を鍛えてしまうことになります。
やはり、見たり聞いたりしたものをそのまま取り入れるのではなく、そのトレーニングの意味と効果を常に考えることが大切であるということですね。
スクワットを例にあげたように、臀筋の強化は、障害予防、パフォーマンス向上の観点から欠かすことができません。臀筋の筋力は短距離走、垂直ジャンプのパフォーマンスと相関関係がある(臀筋の筋力が強いほど短距離が速い)と文献でも実証されていますし【1,2】、バイオメカニクスの観点からしても臀筋は体で最も強く筋力を発揮できる部位の一つです。臀筋を強化するトレーニングは多種多様ですが、前述したようにやり方次第で思うような効果を得られないこともありますし、逆に少しの工夫によってより高い効果を得ることもできます。それでは、臀筋のトレーニングに取り入れるとより良い効果が期待できるテクニックを少しご紹介していきたいと思います。
【Hinge Patternの習得】
前述したように、スクワット時に膝が前にでるKnee Dominanceのフォームでは、膝(膝蓋大腿関節)にかかる負荷も大きくなるし、臀筋のモーメントアームが小さくなる為、効果的に臀筋をトレーニングすることができません。このHinge Patternはデッドリフトやスクワットには非常に重要なテクニックであり、腰椎にかかる負荷も抑えることができます。Hip Hinge自体の動きははスクワットの動きとは若干異なるのですが、スクワット時、特にエキセントリックローディング(沈み込む段階)の段階で、股関節伸展筋をより動員させる為にこのテクニックは欠かすことはできません。Hinge Patternの習得には色々とテクニックがありますが、また機会があれば紹介していきたいと思います。
膝周りにセラバンドを巻くResistance Band Squat

膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament;ACL)リハビリテーションなどでもセラバンドを膝周りに巻いてトレーニングをおこなう場面をよく目にします。目的としては、
- セラバンドを外に押し返すことでACLの危険因子である膝が内側に入りこむ動作(外反)を抑えること
- 外反を抑制する股関節外旋筋を効果的に刺激すること
- 口頭などで膝が内側に入らないよう意識というような内的キュー(Internal Cues)を与えるよりも、セラバンドを外側に押すことを意識させる外的キュー(External Cues)を与える方が外反を効果的に外反動作を抑止すること
などが考えられます。
でもこれって、他のセラピストさんの人たちがやっているのを見たり、聞いたりして取り入れているだけで本当に効果があるのか実はわかっているようでわかっていない方もいるのではないでしょうか。
そこで、このバンドを巻きつけておこなうスクワットが本当に効果があるのか調べてみました。

この文献では、セラバンドを膝周りに巻いてバックスクワットをおこなった時とバンドを巻かない状態の時で臀筋の筋発揮に差があるかを比べています。【3】結果ではセラバンドを巻いてスクワットをおこなったほうが臀筋の筋発揮が大きかったと報告しています。また、興味深いことにセラバンドを巻いてもスクワットのパフォーマンス自体には影響を与えず、むしろ最大挙上回数が増えたとも報告されています。【3】
【モンスターウォーク】

サイドウォークのやり方については以前のブログでも紹介しましたが、モンスターウォークでは中臀筋を効果的に強化することができます。
一つ問題点があるとすれば、TFLと呼ばれる筋肉を同時に働かせてしまうことですが、これはちょっとした工夫によって最小限に食い止めることができます。
モンスターウォークをより効果的におこなうポイントとしては:
- スクワットポジションにておこなう:これによってTFLの活動を最小限に抑えることが可能
- 鍛えたい方をスタンス側(固定した側)にする:文献によるとスタンス側のほうが動かす側(サイドステップ側)よりも中臀筋に大きな筋発揮が認められたと報告されている
- レジスタンスバンドを足首か足に巻く:膝に巻くよりも大きな筋発揮が中臀筋におこる

モンスターウォークやサイドウォークの良い点は、それほどまでトレーニング強度が高くないので、アップに取り入れたり、スーパーセットのサイドメニューとして取り入れたりすることができる点にあると思います。
いかがでしょうか、臀筋を鍛える方法は多種多様ですがトレーニングのやり方がまずは何よりも大切であるということです。
ご精読ありがとうございました。
References
- Wisløff U, et al. Strong correlation of maximal squat strength with sprint performance and vertical jump height in elite soccer players. Br J Sports Med. 2004;38(3):285– 288.
- McBride JM, et al. Relationship between maximal squat strength and five, ten, and forty yard sprint times. J Strength Cond Res. 2009;23(6): 1633– 1636.
- Kyle F. Spracklin, et al. Looped Band Placed Around Thighs Increases EMG of Gluteal Muscles Without Hindering Performance During Squatting. Journal of Performance Health ResearchVolume 1, Issue 1. Pages 60–71 DOI: 10.25036/jphr.2017.1.1.sprakin
