肩シリーズ:インピンジメント症候群とはなんぞや? Part I

 

みなさん、今まで肩の痛みに悩まされたことはありますか。

 

実は、肩の痛みの発生率は非常に高く、およそ70%の方が人生で一度は肩の痛みを経験するといわれています。

 

しかし、肩の痛みといっても軽度〜重度と症状も大分違いますよね。

 

例えば、”野球の投球で肩が痛む” “日常の中で肩を挙げると肩が痛む” では、

 

肩の痛みを引き起こすやメカニズムも違ってきます。

 

肩の痛みの原因はそれこそ無数にあり、その症状に応じた対処をしていかないとなかなか症状が改善することは難しいです。

 

そこで今回は、

 

肩で最も頻繁におこるといわれている障害の肩インピンジメント症候群”に焦点を当てていきます。

 

 

肩インピンジメント症候群とは?

みなさん、こんな経験をされたことはないでしょうか?

 

①棚上の物を取ろうとした時、肩に鋭い痛みが走った。

②普段はなんともないのに、腕をあげると肩に痛みがはしる

③痛くて腕を背中に回すことが困難

④肩(腕)に力が入らない

 

肩インピンメント症候群の特徴として、

 

『普段は特になんともないけど、腕を動かすと痛む』という感じで、腕の動きに伴う痛みを大きな特徴としています。

 

 

またひどい場合では

 

『就寝中に痛みのある肩を下にして寝ることができない』

 

『朝起きた時に肩が痛む』

 

など日常生活にも支障をきたす場合があります。

 

もう少し専門的に解説すると、

 

インピンメント症候群とは、

 

肩をあげた時に肩関節の中で軟部組織(筋肉、関節包、関節液胞、靱帯)が骨や他の軟部組織と接触・衝突(インピンジメント)し合うことで痛みが引き起こされる肩の障害のことを総称して呼びます。(Matsen et al)

 

このインピンジメントで痛みを引き起こす原因となる筋肉がローテーターカフ(肩腱板筋)のため、インピンジメント症候群を

 

肩腱板障害(Rotator Cuff Tendinopathy)

 

もしくは、

 

肩腱板に関連した肩障害(Rotator Cuff Related Shoulder Injury)

 

と呼んだりもします。

 

 

メカニズム

 

インピンジメント症候群は腕をあげたり、回旋させたりした時など腕の動作に伴う痛みを特徴としてますが、なんでこのようなことが起きるのでしょうか?

 

このメカニズムを理解するために、まず腕をあげた時に肩関節ではどのようなことが起こるのかをみていきましょう。

 

肩の関節は肩甲骨の末端 (Glenoid+Acromion) と上腕骨の頭 (humeral Head) 、そしてこの2つの骨をつなぎ合わせる筋肉や靭帯などの軟部組織によって構成されています。

 

写真1

 

 

実は肩関節は人間の体で最も可動性がある関節といわれているのですが、その理由として、写真1からもわかるように上腕骨頭(Humeral Head)関節窩(Glenoid Fossa)に対して約3倍の大きさを持っています。

 

この状態をよく写真2のようなゴルフボールとティーに例える場合が多いです。

 

 

写真2

 

この構造のおかげにより、私たちは肩を360度回したり、腕を伸ばして背中をかいたりとかなり大きな範囲で肩を動かすことができています。

 

可動性の大きい肩関節ですが、あまりに自由に動きすぎてもらっても困るので、骨や肩関節の軟部組織などによって安定性が保たれています。

 

さて、肩関節は肩甲骨の末端の肩峰(Actromion)と呼ばれる部分と上腕骨頭で構成されているとお伝えしましたが、

 

この肩峰(Acromion)と上腕骨頭(Humeral Head)には小さなスペースが存在しています。

 

そして、このスペースの中には関節唇、靱帯、関節包、筋肉(奥から順)などの軟部組織(Soft Tissue)ひしめき合っているため、およそ6mm ~ 14mm 程のわずかなスペースしか残されていません。写真3参照

 

写真3

 

 

元々で狭いこのスペースですが、肩の挙上に伴ってさらに狭くなっていきます。

 

もちろん、スペースが狭くなるからといって肩関節にある軟部組織がどこかにいくわけでもないので、大きな確率で軟部組織と肩の骨との間で接触がおこります。

 

 

もし、これが度重なるストレスを受け関節内で炎症を起こしたり、慢性的な虚血状態となってしまうと、これが原因となり肩の痛みへと繋がっていきます。

 

 

この重なる接触によって起こるのが、腱障害(Tendinopathy)あったり、ひどい場合では腱板損傷(Torn Rotator Cuff)に繋がる可能性もあります。

 

 

種類

 

実は肩のインピンジメント症候群は全て同じというわけでなく、発生メカニズム、ダメージに関わる組織、症状などによって大きく2つに分類することができます。

 

①肩峰下インピンジメント

いわゆる、一般的な肩インピンジメント症候群といえば、ほとんどがこの肩峰下インピンジメントのことを意味します。

 

肩関節の構造でもお話したように、肩峰(Acromion)と上腕骨頭(Humeral Head)の間にあるスペースが腕をあげるとともに狭くなっていき、最終的に衝突をおこすことで肩の痛みが引き起こされます。

 

 

②インターナルインピンジメント

このタイプのインピンジメントは特にオーバーヘッドスポーツをおこなう選手に発生することを特徴としています。(野球、テニス、水泳、バレーボール、バドミントン、ハンドボールなど)

 

インターナルインピンジメントについては違うコラムでご紹介しようと思いますので、今回は軽い説明だけとしますが、

 

インターナルインピンジメントは、オーバーヘッドスポーツで繰り返し肩を使うことで、ローテーターカフの一部と軟部組織が衝突をおこすことで痛みが引き起こされるのを特徴としてます。

 

 

では肩峰下インピンジメントとインターナルインピンジメントとでは何が違うのでしょうか?

 

まず、肩峰下インピンジメントでは、腕をあげた際に肩峰とローテーターカフの一部の棘上筋という筋肉の間で衝突がおこることで痛みが引き起こされるのに対して、

 

インターナルインピンジメントでは、肩を最大外旋位(写真5参照)させた時に、肩後方の組織(ローテーターカフ、関節唇)がインピンジメントすることで痛みが起こるのを特徴としています。

 

写真5:インターナルインピンジメント

 

症状

もし以下の様な症状があればインピンジメントの可能性があります。

 

  • 肩をあげると一定の範囲で痛みがでる
  • 肩周りに痺れが走る
  • 背中に腕を回すのが困難、痛みがある
  • 投げるなどの動作で決まって痛みが伴う
  • 夜に肩を下にしたり腕を伸ばした状態で寝れない

 

①肩をあげると一定の範囲で痛みがでる

『腕を上にあげてきた時に発生する肩の痛み』をインピンジメントの特徴と言いましたが、インピンジメントがおこりやすい肩の挙上範囲があります。

 

これをPainful Arcといい、肩をあげた約80〜120度の範囲で最も痛みがおこりやすいといわれています。

 

この肩挙上 80〜120度 という範囲は、インピンジメントが一番おこりやすい範囲なので、このPainful Arcの範囲以外では痛みが出ないこともあります。

 

②肩周りの痺れと脱力感

肩の筋肉を支配する神経は肩周りまで派生しています。

 

このためローテーターカフがインピンジメントを起こした時、肩や肩甲骨周りがだるくなったり・痺れを伴うなどの症状を引き起こします。

 

これをReferral Painといい、脱力感・肩周りの痛み・痺れなどはローテーターカフから派生して来ていることが考えられます。

 

 

③背中に腕を回すのが困難、痛みがある

背中に腕を回す動作は肩にとって最も複雑な動きです。

 

特にこの動きには内旋という動きが伴い、ある程度の内旋の可動域が必要となります。

 

インピンジメントの兆候として、内旋の可動域低下内旋時に痛みが伴うことがあげられ、これによって腕を背中に回すことが困難となってしまいます。

 

 

④投げる動作で痛みが伴う

これはオーバーヘッドスポーツ選手特有のインターナルインピンジメントに多い症状です。

 

このインターナルインピンジメントについては別のコラムで紹介していきます。

 

 

⑤夜に肩を下にしたり腕を伸ばした状態で寝れない

インピンジメントもひどい場合では炎症などにより圧迫されるだけで痛みが出ることもあります。

 

この場合は寝相などを工夫して快適な睡眠を得ることを最優先に考える必要があるでしょう。

 

 

さて、次回のパートIIでは実際にインピンジメントを発生させる原因とその対処法について触れて行きたいと思います。

 

今回の記事で何か質問などあれば気軽にコメントください。

 

では、また次回

アオキリョーキ

 

 

 

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